奥田善巳 ’80年代の油彩画+1 Sept.21- Oct.14, 2024

奥田善巳 '80年代の油彩画+1/ OKUDA Yoshimi : his 80's oil paintings plus one

2024年9月21日(土)-23日(月・祝)
           9月28日(土)-30日(月)
   10月5日(土)-7日(月)
   10月12日(土)-14日(月・祝)
   いずれも、1:00p.m. →6:00p.m. 

奥田善巳  CO-338 , F15 , 1986年
奥田善巳 CO-345 , P20 , 1986年
奥田善巳 CO-327 ,P20 , 1986年
奥田善巳 '80年代の油彩画
奥田善巳 CO-330 ,F20 ,1986年
奥田善巳 無題 ,F15 ,1949年(推定)
奥田善巳 '80年代の油彩画

展覧会後記

奥田善巳と木下佳通代は、幾多のタッチとストロークにより画面を構成しています。しかるべくして走り、重なり合っています。それらは日々の思索と、修練の積み重ねから生起するもので、的確さ、そして真理さえも感じさせます。

木下佳通代の絵画は音楽を聴くような心地にも似て*1、譜面のように見えてくる作品さえあります。奥田善巳の筆使いは構築であり、描き終わる頃には、カンヴァスは重層構造に覆われています*2。私にはそれが、文体(言葉)あるいは記号の、密度が高い連なりに映ります。視覚を通じて、木下作品とは対照的に重厚な音色を聴きます。

私は、奥田と木下の気に入った油彩画を掛け並べて、眺めるのが好きです。二人の作家が心身共に充実し、力が漲っていた頃の作品です。眺める内に干渉と親和が始まり、これもしかるべくしてなのか、第三の絵画(音響)が立ち現れます。

*1木下はシャンソンを好み、殊にフランソワーズ・アルディを挙げていました。もしかすると、シャンソンの調べを感受する方もおられるかもしれません。
*2最晩年の奥田は、アトリエに相当量の赤色の油絵具を用意していたと聞き及びました。彼に余力があったなら、新奇な赤のシリーズを観ることができたのでしょう。

 

石橋宗明