「おーい でてこーい」能登半島大地震編

 

 

 

 

 

Photo by Digital Globe via Getty Images

 体力と健康に自信があり、尚且つ、サヴァイヴァル術に長けている人ならば、災害発生間もない頃の現地に入ったとしても、きっとうまく立ち回ることでしょう。そうでなければ、救援に向かったはいいが、その人もまた被災者となってしまう心配があります。しかし、もしそうなったとしても、恥じることなどありません。命を助けたくて、居ても立ってもいられない気持ちはよく分かります。その為に起こした行動は実に尊い。とは言え、救援者もまた無事に帰還して欲しい。その為にも支援団体(NPO)や、議員とスタッフが現地調査している政党事務所から必要な情報を得た上、装備を整えて出発するのが望ましいのです。

 北陸電力の志賀原発1号機(原子炉建屋直下に活断層あり)、及び2号機はどちらも定期検査中で、今回は重大事故に至らずに済んだようです。しかし関西電力は、5つの原子炉*を再稼働させているにも関わらず、停止させませんでした。それらは、新潟-神戸ひずみ集中帯に並んで建っています。未知のものも含め、多くの活断層が存在することでしょう。直ちに炉心内に制御棒を差し込み、地震と津波の様子を見るべきでした。一機でも重大事故を起こすなら、実際に可能なのか大いに疑問がありますが、震災被害の無かった地域も避難を余儀なくされます。当然、能登半島での救助・救援がままならなくなる。強欲による反生命であり続ける関西電力ですが、美術館に於いて彼らがスポンサーとなる展覧会には、今後も一切出向きません。藝術のフィールドで生きる者のプライドであり、扱われる作品に対する敬意でもあります。 
*高浜原発1~3号機、3号機はMOX燃料(プルトニウムとウランの混合酸化物燃料)を使用、1,2号機は老朽化している。大飯原発3,4号機。いずれも福井県若狭湾沿岸。

 れいわ新選組の山本太郎さんが能登に入り、被害状況を調査しています。現時点で知り得た状況を、私たちに逐次発信してくれることでしょう。そうした情報は、これから現地へ向かう方々、既に活動中の方々にとって大いに参考になるはずです。

 山本太郎さんが炊き出しの食事を、避難所の方々と共にしたというエピソードを聞き、私までもが心穏やかになりました。山本さんは、生命力の中で生きる人ですから、他の人にもそのエネルギーを分け与えることができるのでしょう。新約聖書の中の記述を彷彿とさせます。イエスキリストが、僅かしかなかったパンと魚を群衆に分け与え、空腹を満たしたという箇所です。合理的に考えれば、弟子たちが何とかしてかき集めたのかもしれませんが、そればかりではなく、群衆はイエスキリストの滔々と湧き出る生命力(リビドー)を分けて貰ったとも読み取れます。それはその人の言葉であり、ひいては側に居てくれるだけで心強いのです。満たされたのは心でもあったということです(それ故に嫉妬と敵意の対象ともなります)。山本太郎さんは政治家ですから、宗教と結び付けた話題は、政教分離上避けたいところです。しかしながら私は、イエスキリストを一人の人間として、生命力の中で生きる優れた思想家、先達と見ており、彼はふんだんに比喩を用いて語るものの、理性的に受け取るならば、盲信が入り込む余地などないので、率直に述べてみました。

石橋宗明