PFAS血液検査

Mark Ruffalo looks at Rob Bilott, a corporate defense attorney, as he speaks during a press conference to discuss the Fight Forever Chemicals campaign on Tuesday Nov. 19, 2019. The campaign coincides with the release of the film Dark Waters starring Ruffalo inspired by the true story of Bilott, who discovers a community has been dangerously exposed for decades to deadly chemicals. (Photo by Caroline Brehman/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

この夏、PFASの血中濃度検査を受けました*¹。血液検査により、身体に蓄積したPFAS*²の総量を知ることができます。先日、その結果が郵送されてきました。PFOSは2.0ng/mL、PFOAは4.5ng/mL*³。4種類での合計値は8.9ng/mL、7種類での合計値は9.8ng/mLとありますので、PFOAによる汚染が際立っています。私は家庭に於いて、20年以上、水道水を活性炭フィルターで濾過した上、飲料水に用いてきました。それでも上記の値が出てしまいました。あるいは、この程度に抑えることができたと見るべきでしょうか?
*¹兵庫県民主医療機関連合会による第3回目のパイロット検査に参加。採取した血液(血漿)1mL中の濃度を調べます。PFAS類が20ng以上含まれているのなら、疾病リスクが高い状態と考えます。
*²PFAS(ピーファス)は有機フッ素化合物の総称。産業界で多用されている人工の化学物質。1万種と言われていますが、組み合わせは無限です。
*³単位ng(ナノグラム)は10億分の1g。学校のプールに塩粒を2,3個溶かした濃度が1ngです。

〇基準値
PFASの血中濃度基準値を、日本は未だ設けていません*¹。そこで私たちは、北米とドイツの基準値を参考にしています。北米の場合、7種類の合計値2ng/mL未満は健康への影響はなし、2ng/mL以上~20ng/mL未満は要注意、20ng/mL以上は健康リスクが上昇、としています。ドイツの基準値は、PFOSを20ng/mL、PFOAを10ng/mLと定め、これを超えると健康リスクがあるものと判断します。従って私の場合、北米基準では要注意、ドイツの基準ならPFOSは安全圏、PFOAは中間レベルの健康リスクと見るようです。措置*²を必要とする北米の規制値20ng/mL以上ではないものの、私は実に不快です。血液中にゼロ(≈)であることが本来ですから、私が求める値は、せめてもの2ng/mL未満なのです。
*¹国際がん研究機関(WHO直属の専門機関)は2023年、PFOAをGroup1「ヒトの発がん性あり」に分類。しかし日本政府は、未だ動きません。
*²腎臓がん、精巣がん、腫瘍性大腸炎、甲状腺疾患などのリスクを考えた処置。

化学物質過敏症を誘発する主な原因として、PFAS(PFOA単一であっても)による体内汚染があるのではないかと私は疑っています。体内での半減期は5年とされていますが、摂取が続く限りいつまでも残留します。無関係とは考えにくいのです。

〇最大汚染源
PFOAについて、京都、大阪、兵庫に住む人々の血液濃度が、他の地域よりも高いことが明らかにされています(京都大学研究チームによる調査03、04年)。平均は10ng/mL以上でした。この調査結果は、河川と水道水から検出されたPFOA濃度との相関関係を示しています*¹。最大の汚染源は、ダイキン工業の淀川製作所です。ダイキン工業は1960年代後半にPFOAの製造・使用を開始、少なくとも2000年の時点で危険性を認識しつつ、環境中への排出を止めませんでした。河川と海、土壌、地下水、そして大気を著しく汚染し、負の遺産として今も尚、私たちを脅かしています(難分解性、環境残留性、生物蓄積性)。PFOAの製造と使用は中止しましたが、淀川製作所からの浸出が続いているものと考えられます(代替PFASも安全とは言えません)。汚染者負担の原則に基づき、ダイキン工業は情報公開と補償に応じ、環境浄化に努めるべきです。ダイキン工業から支援を受けている美術館は、倫理的観点を重んじ、彼らが責任を全うするまで締め出しておくべきです。また、問題企業のイメージ戦略に利用されることになる美術家も、ボイコットも辞さない姿勢を表明すべきではないかと思います。
*¹大阪市では水道水1ℓあたり40ngのPFOAを検出。上水道を経た水にしては濃度が高すぎます。北米は飲料水に含まれるPFOS及びPFOAの濃度を、各4ng/ℓに規制しています(24年)。法的拘束力も伴います。一方で日本政府は、2020年に、PFOSとPFOA合計の暫定基準値を50ng/ℓとしたまま、様子を窺っている状態です。

以下の図書を参照しました。
中川七海『終わらないPFOA汚染』旬報社、2024年.
原田浩二『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』河出書房新社、2024年.

石橋宗明